3月、Evangélique IIのディレクター(校長)から
「今年度学年末の終了パーティで環境をテーマにちょっとした演劇を披露して欲しい」
と頼まれました。
テーマは何にしろ、演劇は、効果的な啓発方法の1つとしてよく使われます。
しかし、私は自分で演じるのも好きじゃないし、脚本&演出なんて…と最初は迷いました。
ただ、活動を始めたばかりの頃、色んなことを知ろうとYANTAの活動は出来る限りなんでも見に行っていました。その中で、女性の権利や環境(森林)保護をテーマとした演劇グループがあり、プロの演劇指導チームの下練習するのを何度か見、実際に少し参加もしていました。
また、ブルキナの子供たちは演劇を小さい頃から見たり、やったりしているから、彼らに大半を任せても大丈夫、と他の先生に言われ、やってみることにしました。
道のりは平坦ではなかった…。
担当している4つのクラスの生徒が同時に時間があるのは、授業のない毎週木曜日午後のみ。
ただしその時間に学校に来るためには親の許可を得ることが必要。
そこでまず各クラスで希望者を募る。大半が手を挙げる…。
校長先生に人数分の登校許可申請の紙を作ってもらい、生徒に配布。
最初の木曜日、来たのは20名程度。
いつもの授業のようにまとまらず…。
すぐに教室から出て行ったり、他の友達とおしゃべりしたり、途中から突然参加すると言って来たり…
とりあえず即興で2グループ作り、環境関するテーマを自由に選ばせ、シナリオを作り演じてもらう。
2グループとも選んだのは「森林伐採禁止」。
もっとも典型的テーマ。しかし、内容は町ではなく、村で起こる。その方が面白いと。
私は、彼らの生活に直結した内容のものにしたかった。
しかし、彼らの意思を尊重し、翌週内容を深めることに。
2週目。
先週来た子達の半分がいない…
2グループを再構成することに。
内容は先週と同じもの。しかし半分以上が新メンバーで上手くいかない…。
本当にやるつもりなら、毎週来るように約束。
3週目。
外でチーム対抗のサッカー練習試合あり。
外の演劇の練習に来た子達も注意散漫。
応援と歓声で、何も聞こえない…。
ダメだこりゃ…。
4週目: 私は参加できず。自分たちでちゃんと練習するように言っていたものの、結局大半は来なかったらしい…
5週目。
私も含め、皆のやる気に陰が…
来たのは1週目から来ていた10名程度。
思い切って、メンバーを彼らに制限し、テーマ再考。
「森林伐採禁止」と「ごみ問題」が候補に。
実は私は最初から「ごみ問題」を取り扱いたかった。
というのも、彼らの日常生活に直結する問題で、観客(他の生徒)にもメッセージ性が強い。
強制はしませんでしたが、チーム内の多数決(民主主義)で「ごみ問題」に!
構成はすばやく決まり、練習開始。
以前YANTAの練習を見ていた経験を元に、
‐大きな声ではっきりと
-大きな(大げさくらいな)身振りで
‐正面にお尻を向けない
を繰り返し指導。
6週目。
彼らは演劇に慣れているものだと思っていたため、台詞も書かず(強制せず)、任せていたところ、彼らの方から書いて欲しいと要望。
「監督(全体指揮)」に任命した子と一緒に作成。
7週目。
台詞を見ながら練習。
来週までに覚えてくることに。
8週目。
皆ちゃんと記憶してきてくれた!
デジカメで録画し、声の小さいこと、ジェスチャーがあまり見えないことを彼ら自ら確認。
繰り返し練習。
9週目火曜日。
一連の環境教育の報告書を提出するために学校へ。
掲示板に学年末パーティの日付が…。5月18日18時半…
今日…
1ヶ月ほど前から、祭りはいつだと、校長先生に尋ね続けていたのに、知ったのは結局当日…。
すぐに休み時間にメンバーを集め、昼ごはんで家に帰った時に、衣装と必要な物を午後の授業に持ってくるようにお願い。
そして夜。
「(通常のブルキナでのイベントのように)時間通りには始まらないだろう・・・」と高をくくり、18時45分頃に着くと、マイクから「ごみ」、「ごみ」と聞こえてくる…。
もしや・・・!
遅かった・・・
時間通り始まり、プログラム2番目だった彼らの寸劇は、最後の場面…。
指導者として失格でした…。
本当に申し訳なく感じました。
校長先生は、「子供たちはしっかり話していた。よかった」と言ってくれましたが、私としたことが!
ちゃんと衣装を着、中には顔にチョークで化粧をした子も。
最後しか見れなかったけど、彼らが立派に見えました。
これで、本当の意味での私のこの高校での環境教育が終わりました。
終わりよければすべて良し…
ちなみに寸劇の内容:
ある家族は家の前にごみを毎回捨てています。
それを飼っていたヤギたちが食べ、死んでしまいます。
死んだヤギの肉は、お隣の家族におすそ分け。
それを食べた隣人の娘がお腹を壊します。
彼女を病院に連れて行くと、とても高い診察料(50,000フラン)を請求され、父親は「今月生活していけない」とぼやきます。
そんなところに、賢人2人が通りかかり事情を聞きます。
病気の原因がごみにあることを、ごみ捨て場で、そのごみを捨てた当家族もいる前で説明。
投棄されたごみは、病気を蔓延させ、間接的にも(ごみを食べた家畜の肉を食べることで)結局人間に影響がある。
ゴミ回収を頼むのは月1,500フランと1度の診察料あるいは薬代よりはるかに安い。
市場に行くときには、袋を持っていきましょう。
道沿いに食べ物を買いに行くときは皿を持っていきましょう。
プラスチックの袋は使うのを出来るだけ避けましょう。
最後にその捨てられていたごみを皆で拾って、終了。
5分という長さの中で、よくできていたと思います。
皆お疲れさま!
